ファーウェイ(HUAWEI)が、独自OS(ハーモニーOS)を公開しました。
同社は『決してAndroidに対抗しているわけではない』としながらも、
- Androidよりも軽い
- Androidアプリとの互換性も視野に入れている
- AndroidがモノリシックOSなのに対して、ハーモニーはマイクロカーネルOS
といった具合に、Androidを凌ぐような機能・利便性を追求した仕上がりになっています。
いま、ファーウェイの機種を使っている人にとっては、Androidよりも機能が落ちてしまわないかが不安だと思うので、特に機能面に対しては気になることが多いかと思います。
そこで今回は、ハーモニーOSに関して、
- リリース日(時期)はいつなのか?
- これまでにない新機能はあるのか?
- Androidとの違いはどういう点か?
について探っていこうと思います。
ハーモニーOSのリリース日
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ハーモニーOSが搭載される最初の製品は『Honor Vision TV』(テレビ製品)で、2019年8月10日、中国で発売予定となっています。
そして、気になるスマートフォンへのリリース日は、公式にはまだ発表はありません。
ファーウェイ社も自社スマホについては、当面はAndroidOSを搭載するとしており、その当面がどのくらいの時期になるのかは未定のようです。
しかし、iPhoneのiOSも2019年6月初旬に開催された”WWDC 2019”に合わせて、iOS13が対外的に発表されました。
iOS13のほうは、
- 2019年6月中旬:iOS13のベータ版が開発者向けにリリース
- 2019年7月:iOS13のパブリックベータ1をリリース
- 2019年7月~8月頃:iOS13ベータ版のハグ・不具合修正
- 2019年9月頃:iOS 13正式版がリリース
のように、発表から3か月後に正式リリースというスケジュールです。
したがって、ハーモニーOSも少なくとも3か月はかかる見込みで、スマホ・タブレット版OSは早くても2020年に入ってからになる予想です。
新機能やAndroidOSとの違いについて
現在、ファーウェイのスマホにはAndroidOSが搭載されています。
それがハーモニーOSに置き換わることでどんな違いが出るのか、ハーモニー VS Androidを比べながら見ていくことにしましょう。
マイクロカーネルベースの多用途向けOS
いきなり専門用語が出てきましたが、要は、ハーモニーOSは色んな機器で使えますよ!ということです。
スマホやタブレットはさることながら、
- スマートスピーカー
- スマートウォッチ
- ワイヤレスイヤホン
- 自動車
多種多様な用途で機能します。
ちなみに、AndroidOSの場合はLinuxベースになった”モノリシックOS”です。
今回開発されたハーモニーOSのような”マイクロカーネル”と度々比較されます。
モノリシックとマイクロ、どんな違いがあるのか、分かりやすい図を見つけました。
中途半端に使いかけのノート引っ張り出してきて記事の構成メモに使おうと思って開いたら、LPICか何かの勉強の時に書いたらしいマイクロカーネルとモノリシックカーネルの絵がでてきた
覚えやすそうだけど描いたこと自体を全く覚えてなかった pic.twitter.com/NmY7r1WOoN— マルコメ乙女 (@marukome_otome) 2018年5月31日
カーネルだけにケンタッキーのカーネルおじさんが出てきていますが(笑)、
- 多機能をカーネルおじさん1人で実現する(Android)
- 多機能を多人数のカーネルおじさんで実現する(ハーモニー)
の違いです。
どちらも多機能である事には違いがないのですが、マイクロカーネル方式とすることで、機能がシンプルになり性能を向上させやすい利点があります。
Androidとの互換性を見据えている
ファーウェイ社は、ハーモニーOSを開発しながらも『自社スマートフォンには当面、AndroidOSを搭載する』と明言しています。
まずはTV製品にのみ搭載して、ユーザのレビュー・反応を見よう。ということでしょうか。
一方で、将来的にはAndroidアプリとの互換性を持たせるとも発表しています。
つまり、Androidで使っていたアプリはすべて、ハーモニー搭載機器でも使えますよ~ということです。
ただ、そのままではAndroidアプリと互換性はありませんが、OSに詳しい技術者ならハーモニーOSに合うようアプリを作り変える手間は簡単で、わずかな変更で済むと言われています。
今後、アプリの変更業者みたいなのが現れるかも知れません。
一方で、iOSに対しては言及されていません。
しかし、iOSもAndroidと同じモノリシックOSであることから基本的な構造は変わらないはずなので、こちらも詳しいOS技術者の手にかかればiOSアプリだってものによってはハーモニー上で動作させることができてしまうかも知れません。
オープンソースのOS
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『オープンソース』
これもまた専門用語ですね。
自分で好きなようにカスタマイズできるOSのことです。
簡単な例えでいうと、子どものおもちゃ。
- 既に完成したもの
- 自分で組み立てるプラモデル
の違いで、オープンソースとはプラモデルのことです。
オープンソースOSには一般的なOSと比べて、メリットもあればデメリットもあります。
それら一つひとつ、見ていくことにしましょう。
自由にカスタマイズができる
言わずもがな、ソース(プログラム)を触って自分でいろいろとカスタマイズすることができます。
プラモデルでも、組み立て手順をあえて無視して自分だけのオリジナルが簡単に作られるのと同じことですね。
開発元が倒産しても使えなくなることがない
こちらは将来的な可能性としては低い話ですが、万一、ハーモニーOSを使っていてファーウェイが倒産してしまっても、OSが使えなくなることはないことも利点です。
自分でカスタマイズする力があれば、さらに性能UPさせることもできます。
さて、ここからがデメリットの話になります。
自己責任
自由にカスタマイズできることの裏返しが、自己責任というヤツです。
しかもOSですから、最悪の場合ひとつ間違うと使っているスマホ・タブレットが使い物にならなくなる恐れもあります。
完成品のおもちゃが不具合を起こせばメーカーに文句を言えますが、プラモデルを取説通りに作らなかったから壊れた、といっても誰にも文句を言えないのと同じことですね。
取説(マニュアル)が詳しくない
こちらもデメリットですが、オープンソースOSはユーザーがカスタマイズする前提で設計されているため、マニュアルが整備されていません。
簡単な機能だけ紹介して、あとは勝手にどうぞ~というようなスタンスです。
軽いOS
パソコン、スマホなどでネットサーフィンなどしているとき、動きが遅かったり固まったりしてイライラした経験もあるかと思います。
あれの原因の大半は”メモリ不足”で、メモリとはパソコンやスマホの中にある実体のあるモノとして存在しています。
実体がありますから、どんな時でもサクサク動かせたいからといってバカでかいメモリを積むことはできません。
特にスマホはその制約が厳しくなります。
AndroidOSだと3GB以上の容量のあるメモリがなければスムーズに動かないと言われていますが、ハーモニーOSではさらに小容量のメモリでもサクサク動かすことができる!と豪語しています。
まとめ
アメリカからの制裁を受けて独自OSの開発を匂わせていたファーウェイ社が、ついにそのOSについて公開しました。
現時点で分かっている情報としては、
<リリース日>
- 最初のリリースは中国向けのTV製品(8月10日リリース)
- スマホ・タブレットへのリリースは未定で、当面はAndroidOSを使用
<特徴・新機能>
- オープンソースOSで、アプリ開発等が容易
- マイクロカーネル方式で、多機能ながら性能を向上させやすい
- 小さいメモリでもサクサク動く
- 将来的にはAndroidアプリと互換性を持たせる
という点で、メリットが多いように受け取れます。
しかし、まだTV製品へのリリース間近というだけであってユーザーのレビューがない状態。
ハーモニーOSの真価が問われるのはこれからです。
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