大相撲秋場所5日目の9月12日、前頭2枚目の朝乃山が東横綱の鶴竜に寄り切りで大金星を上げました。
(出典:https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2019/09/12/kiji/20190912s00005000245000c.html)
序盤立ち上がりから横綱相手に一切引けを取らない相撲を見せ、わずか10秒足らずで相手を寄り切って勝利しました。
朝乃山といえば、富山県富山市出身の25歳。
20年ぶりの富山出身の関取です。
これまで最も注目を集めたのが、2019年5月場所の幕内初優勝。
地元富山では、呉羽会館でパブリックビューイングが開かれたほどの人気ぶりでした。
それまでほとんど無名だった彼ですが、それを機に一躍注目の的となり、今後どこまで伸びていくのか大いに期待されています。
そこでこの記事では、朝乃山が今後昇進を続けて横綱になれる可能性があるのか、見ていくことにしましょう。
朝乃山が横綱になれる可能性
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通算成績
最初に、朝乃山がどれだけの強さなのか、これまでの通算成績を見ていきましょう。
場所 | 対戦成績 | 番付 |
---|---|---|
2016年3月 | 5勝2敗 | 三段目付出100枚目 |
2016年5月 | 6勝1敗 | 東三段目66枚目 |
2016年7月 | 6勝1敗 | 西三段目11枚目 |
2016年11月 | 5勝2敗 | 東幕下14枚目 |
2017年1月 | 7勝0敗 ※優勝 | 西幕下7枚目 |
2017年3月 | 10勝5敗 | 東十両12枚目 |
2017年5月 | 8勝7敗 | 東十両7枚目 |
2017年7月 | 11勝4敗 | 西十両5枚目 |
2017年9月 | 10勝5敗 ※敢闘賞 | 東前頭16枚目 |
2017年11月 | 5勝10敗 | 西前頭11枚目 |
2018年1月 | 9勝6敗 | 西前頭16枚目 |
2018年3月 | 8勝7敗 | 西前頭13枚目 |
2018年5月 | 7勝8敗 | 西前頭12枚目 |
2018年7月 | 11勝4敗 ※敢闘賞 | 西前頭13枚目 |
2018年9月 | 7勝8敗 | 西前頭5枚目 |
2018年11月 | 6勝9敗 | 西前頭5枚目 |
2019年1月 | 8勝7敗 | 西前頭8枚目 |
2019年3月 | 7勝8敗 | 東前頭8枚目 |
2019年5月 | 12勝3敗 ※殊勲賞、敢闘賞 | 西前頭8枚目 |
2019年7月 | 7勝8敗 | 東前頭筆頭 |
2019年9月 | - | 西前頭2枚目 |
朝乃山は2016年3月が幕下付け出しからの初場所で、
- 6場所目で十両昇進
- 9場所目で入幕
です。
十両昇進、新入幕までのスピードでいえば決して早くはありませんでした。
ちなみに、幕下付け出しから新入幕まで遠藤がたったの3場所で昇進したのが最速記録です。
しかし、現在の大相撲界で最強と言われている白鵬でも、三段目98枚目から十両昇進まで11場所かかっています。
朝乃山はそれを超えたわけです。
最速ではないものの、初土俵から1ケタ場所数で入幕を果たしました。
今は平幕で足踏み状態が続いていますが、どんな力士にもそういう時期は来ます。
評価から判断
2019年5月場所では、12勝を挙げて殊勲賞、敢闘賞同時に受賞する快挙となりました。
これに対して藤島審判副部長(元・武双山)は次のようにコメントしていました。
「右四つの本格派。組めなくても前に前に出る姿勢があり、気持ちのいい相撲を取る。必ず上にあがる力士」
(藤島審判副部長@元大関武双山)
『必ず上にあがる!』と、太鼓判を押されています。
そのコメント主の武双山ですが、初場所から5場所目で入幕を果たし、その後3場所を通過して三役昇進しています。
三役は、小結⇒関脇⇒大関の順ですが、なんと、前頭から小結を飛ばして関脇に飛び級した天才肌でした。
そんな元・武双山からの太鼓判ですから、間違いなく横綱昇進できるでしょう。
そして、この方も朝乃山に対して大いに期待しています。
(出典:Wikipedia/)
平成の大横綱・白鵬です!
平幕5月場所で優勝した朝乃山がその次の7月場所で白鵬と対戦し、上手投げで完敗しました。
朝乃山本人も、『(白鵬は)稽古場と違って独特の雰囲気だった。ただただ、横綱は強い』と、脱帽するのみ。
しかし、白鵬のほうは、この完敗でまた一つ成長することを確信していました。
また、かねてより、
『(自身と)相撲のスケールや体形も何となく似ている。(自分と同じ)茶色いまわしをつけて後ろから見たら変わらない』
『大関(豪栄道)に2連勝したことは成長の一つ。先場所から自分の体に合った相撲を取っている』
(白鵬コメント)
と、自分に似通っているとみたうえで、高評価をくだしています。
確かに、先ほどの写真を見ると、あまり見分けがつきませんね(笑)
そして、お茶の間からも期待の声が続々届いています。
どっちが横綱なんだかわからない相撲。 朝乃山強い。
朝乃山の左上手を取った時の強さよ 今や右四つは1番強いんちゃうか 彼の中での絶対の形ができつつある
朝乃山、すげぇな。富山の星じゃないか。
地元だけでなく、全国からも高評価続出です!
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性格・スタイル
実力や隠されたポテンシャルが高いことは分りました。
ただ、内面に関することも今後上にあがれるかどうかを決めるものであり、建物でいえば基礎になります。
いくら実力が高くても弱気だったらそれだけで可能性は低くなってしまいますよね。
朝乃山が性格的に横綱になれる素質があるのか、みていくことにしましょう。
朝乃山が所属するのは高砂部屋。
その関係者が話す朝乃山の性格はこのようでした。
「常に淡々とした性格です」
「勝っても負けても、あまり表情が変わらない。新弟子の頃から、そんな感じですね。本場所でもそうですが、稽古場でも気迫を出すタイプじゃない。相撲だけではなく、日常生活でも掴みどころがない性格です」
一言でいうなら、ポーカーフェイスということでしょうか。
喜怒哀楽の感情をほとんど出さない、本当にコメント通りつかみどころのない性格なのが伝わってきます。
悪く言ってしまうと”冷ややか”ということですが、いい成績を残しても調子に乗らない分、常に成長しようとする気概を感じます。
また、淡白な人って言い換えるとクールで落ち着いている印象です。
危機的な状況に陥っても、落ち着いて対処できる素質があるのだと思います。
しかし、一方でこういうコメントもありました。
この日も大一番で負けたように、プレッシャーに弱い面が気がかり。幕下時代、『成績次第で十両昇進』という場所で、3連勝後にまさかの勇み足で黒星。ショックを引きずって、連敗ですからね
”とある親方”という方からの言葉ですが、強調したようにプレッシャーに弱いところがあるようです。
十両昇進前もその影響で連敗を喫し、2019年5月場所の優勝ののちの7月場所でも7勝8敗と負け越してしまい、三役昇進を逃してしまいました。
決して表向きの表情からは感じられませんが、いい線行っているときの朝乃山は少し揺らぎやすいということですね。
おそらく、今後大関まで昇進して横綱がかかった場所になると、同じような現象が起こってしまう可能性が高いでしょう。
取り組みで勝っても調子に乗らない、負けてもあまり落ち込まない性格は○ですが、プレッシャーに打ち克つことが彼にとっての今後の課題なのかも知れません。
まとめ
2019年5月場所の幕内初優勝でその名をとどろかせ、9月場所で鶴竜に大金星を挙げた前頭・朝乃山。
今後、横綱になれる可能性を分析してきました。
実力や天性は申し分ないでしょう。
2016年3月の初土俵入りから1ケタ場所数で入幕を果たし、その後10場所以上平幕でくすぶっているものの、関係者やお茶の間からの期待は大きいようです。
彼が今後横綱まで昇進するための課題は、プレッシャーに打ち克つこと。
そこでメンタルがぐらついてしまうと、せっかくの実力が押し殺されてしまうので、そこが克服できれば横綱昇進も時間の問題でしょう。
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