2019年8月21日、NTTドコモがファーウェイの最新スマホ機種『HUAWEI P30 Pro HW-02L』の事前予約受付を再開したと発表しました。
【お客様に安心してお使い頂けることが確認できた】
ことが、予約再開の決め手だとのことです。
再開に至った理由として、ドコモは、
【輸出禁止猶予期間が延長された】
ことを表向きにしていますが、他にも、
- 独自OSが開発されたこと
- 独自アプリを開発していること
- 5G通信世代の脅威になるリスクは、他のメーカーも同じであること
輸出禁止猶予期間が終わった先の事や、セキュリティの面も考えた上での結論だと思っています。
この記事では、ドコモがファーウェイ製品を大丈夫!安心!と判断した理由の核心に迫っていきたいと思います。
予約再開(安心して使用できると判断したこと)の理由
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アメリカの輸出禁止猶予期間が延長されたこと
ある日、アメリカのお偉いさんが言いました。
『アメリカの会社は、ファーウェイに部品を売るな!』
『Googleも、ファーウェイにソフトウェア(AndroidOS)を渡すな!』
と。
ファーウェイの製品には、アメリカ製の部品もたくさん使われていますから、部品を売ってくれなかったらモノが作れなくなります。
そして、ソフトウェアはスマホにとっては”脳ミソ”ですから、それがなかったらただの小物になってしまいます。
どっちも、ファーウェイにとってはダメージです。
なので、ドコモも、
『これじゃあ、いつファーウェイのスマホが使えなくなるか分からないから、P30 Proは売らないほうがいいんじゃないか?』
ということで、販売前の予約を中止していました。
ところが、アメリカの国内でもファーウェイの製品を使ってネットワークを作り、それを利用しているところがたくさんあります。
なのに、ファーウェイの製品が作れなくなったら…
アメリカでも、それまで利用していた多くの人たちが困ることになります。
だから、アメリカのお偉いさんは、とりあえず期限付きでファーウェイに部品を売ってもいい、と言ったわけです。
また、Googleもこれを受けてAndroidOSを売りつづけることに決めたのです。
こういう状況になったので、ドコモは『安心して使えるよ!』と考えて、予約を再開したのでした。
だけど、あくまで期限付き。
8月21日時点での情報では、その期限は11月までと言われています。
でも、11月を過ぎたらどうなるのか?誰にも分かりません。
正直、それだけで『大丈夫!安心していいよ!』と判断するのは難しいと思います。
ならば、別の理由があるのでは?となりますが、それがこれから説明することです。
独自OSを開発したこと
別の記事でも紹介していますが、ファーウェイはGoogleのAndroidOSを買えなくなることを見こして、独自のソフト(OS)を開発しました。
OSっていうと、スマホやタブレットではいちばん重要なソフトになるので、これがないと何もできません。
しかし、ファーウェイは『ハーモニーOS』というOSを自分たちの会社で開発し、しかも元々ファーウェイのスマホの中に入れていたAndroidよりも性能の良いOSであると、自信満々に発表していました。
おそらく、ファーウェイのこういう先を見こした動きも、ドコモが大丈夫だと判断した理由になったと思われます。
独自アプリを開発しようとしていること
地図アプリを開発中
ファーウェイは独自のOSを開発し、その次の手段として、独自の地図アプリを開発しようと動いています。
これまでは、Googleのアプリが主に入っていたので、地図アプリといえば”Googleマップ”でした。
そして、アメリカのお偉いさんは、Googleに対してAndroidOSだけでなくそれ以外のアプリも売ってはいけない!と圧力をかけています。
ファーウェイが開発しようとしている地図アプリは”Map Kit”とよばれるもので、2019年10月に登場する可能性が高いといわれています。
独自アプリストアがすでにある!
実は、独自のハーモニーOSが開発される前にも、ファーウェイ独自のアプリストア”HUAWEI AppGallery”がすでに展開されていました。
海外ではすでにそれが使える状態になっていて、日本でも2018年10月に展開が決まりました。
AndroidOSの場合、アプリは”GooglePlay”から買いますが、アメリカのお偉いさんがGoogleとファーウェイを決別させるようなことがあれば、GooglePlayも使えなくなる可能性が高いです。
ファーウェイはそのことを見こして独自のアプリストアを展開していました。
独自アプリストアの日本での展開に向けては、日本でトップ10に入っているアプリ開発会社のうち7社が協力すると言ってきています。
こうしたファーウェイの積極的な『外に頼らない』という動きが、ドコモの安心を買ったのではないかと思います。
今はOSと地図アプリの開発だけですが、今後はその他のアプリも自分たちで作って、完全に外から買うことをやめるようになるのかも知れません。
セキュリティの問題に関して
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これまでの話は、アメリカで部品を作っている会社からモノが買えなくなったり、Googleからのサービスが途切れてファーウェイのスマホが使い物にならなくなる点について見てきましたが、セキュリティの問題が残っています。
【ファーウェイの製品はセキュリティに問題がある】
というのを、どこかで聞いたりニュースで見かけた人もいるかと思いますが、そもそもなぜそんな風に言われるようになったのか。
はじまりは、中国はアメリカに対して「タイタン・レイン」「オーロラ作戦」などと呼ばれるサイバー攻撃を仕掛けた過去があったことでした。
そうした出来事があって、アメリカのお偉いさんは中国の通信機器会社を警戒しはじめて、なぜかファーウェイがつるし上げられたのです。
もちろん、ファーウェイはその疑いを否定し続けてきましたが、2014年にアメリカの政府は最低でもお偉いさんたちが仕事をする範囲ではファーウェイ製品を使うな!としたのでした。
つまり、ファーウェイのセキュリティの問題は、濡れ衣だった可能性があるということです。
しかし、その疑いが晴れないながらもファーウェイは急成長して、2017年にはアメリカのAppleを超えてしまいました。
もし、アメリカ政府が言ったことが本当なら、ファーウェイがここまで成長することはなかったと思います。
そして、最近では『5G通信世代』という言葉をよく耳にします。
簡単に言えば、クルマでも何でもインターネットにつながるようにしてしまい、そして今までよりも格段に通信速度が上がる時代になるというもので、2019年10月ごろにはその概要が大まかに決まると言われています。
この5G世代を迎えようとしている今、ファーウェイの製品のセキュリティに対する疑いが晴れていないので、データを抜き取ったりするなどセキュリティをおびやかしてしまうのでは?と心配されています。
ファーウェイのP30 Proは、まさに5G通信世代にも対応させた機種であり、世代交代の節目でもあることから、どこの国でもセキュリティ強化に関してはこれまで以上に力を入れようとしています。
しかし、その疑いをファーウェイだけに向けるのは違うのではないか、とも言われていて、その理由が次の2つです。
疑うべきは通信経路すべて
データが盗まれるなどのセキュリティの問題は、データをやり取りしているインターネット上の経路すべてで可能性があることです。
つまり、A地点からB地点へデータを送る場合、A地点~B地点の間のどこででもデータを抜き取られる可能性があるので、その経路上にファーウェイの製品があってもなくてもセキュリティに対する不安度は変わらないということです。
心配なのはファーウェイだけではない
始めのとおり、『中国が過去にサイバー攻撃を仕掛けたことがある』というだけで、ファーウェイがセキュリティ問題の脅威としてやり玉にあげられたわけですが、そのリスクは他のメーカーの製品でも同じ程度にあり得るのです。
過去にはアメリカ政府も世界中の人たちの情報を抜いていた事実があり、それを受けてドイツ政府は2014年にアメリカのベライゾンを『スパイ工作の恐れがある』と考えて、契約をやめたことがありました。
むしろ、”どのメーカー、どこの国の製品を使うか”ではなく、”誰が使うか”のほうを心配すべきではないかと考えます。
まとめ
ファーウェイの最新スマホ機種『HUAWEI P30 Pro HW-02L』の事前予約受付が再開された理由を深掘りしてきました。
今後も安心して使えると判断された理由に関して、
- 製品として使い続けられるか?
- セキュリティの心配はないか?
の2点から説明してきました。その内容を簡単にまとめておきます。
特に、セキュリティの問題はどこのメーカーを使うか?を心配するのではなく、個人でしっかり対策をすべきと考えます。
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